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2014.12.11 Thursday | category:-
超10医療 〜田中眞治医師の寄稿〜
2012.12.26 Wednesday | category:超10医療
ちょうど私の友人がJICA(独立行政法人 海外協力機構)に勤務していてこの12月から南アフリカのマラウイという国に赴任しました。彼はその地で電力を供給する事業に従事するとのことですが、国内の産業は農業がたばこ、メイズ、茶、綿花、ナッツ、コーヒー 生産で工業が繊維、石鹸、製靴、砂糖、ビール、マッチ、セメントなどの生産の国です。国民の80%が農業に従事し、一人当たりの生産(GNI)は290米ドルです。水やエネルギーの供給が不十分です。国民の衛生状況や健康状況が推し量られます。
日本の戦後の衛生状況も同様でした。国土の46%が廃墟となったところに500万人を超える兵隊と引揚者が帰国し、人口密度が当時世界でも3番目の状況でした。食料も水も十分でなく国民は毎日の生活が精一杯の状況でした。よく戦後生まれの人から「米軍からチョコレートをもらった」「やまで椎の実やぶどうなどを食べた」「すいとんを食べた」「いつもおなかをすかしていた」という言葉を聞きました。
貧しくて衛生状況が悪く人口が過密な状況に加えて新しい出産によってさらに人口が急増してその矛盾がさらに増大したのが終戦直後の数年間、団塊世代の生まれた時代であったといえます。
ところが急速に増加する出生数が昭和20年代の後半になって急ブレーキをかけられます。人工妊娠中絶の急増が原因です。私は昭和29年生まれですがこの年には1769580人の出生に対して1143059件の人工妊娠中絶が行われています。報告されない数字が当然見込まれますので実際の人工妊娠中絶数はこの数字を超しているものと考えられています。優生保護法という法律で人工的に人口増加を抑制してしまったのです。このような法律を実施したのは世界でも日本だけ、平成24年現在少子高齢化の苦難を味わっているのは戦後人工的に人口を操作したことの結果ともいえます。また団塊の世代の人々はもしかしたら生まれなかったかもしれないいのちを生きてきた世代ともいえます。