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超10医療 〜田中眞治医師の寄稿〜
2012.01.25 Wednesday | category:超10医療
エンジントラブル、燃料漏れ、軌道の変更等様々なトラブルに見舞われながら2003年の発射から約7年間かけて大気圏に再突入できた日本人の粘り強さや技術力などが世界に大きな感動を呼び起こしました。
私が一番感動したのはやっと地球大気圏に突入する時に500kgのはやぶさの本体は大気圏突入の際に燃え尽き、はやぶさの体内に(本当に「へその緒」と名付けられているそうですが)電源ケーブルとつながったカプセルだけが大気圏に突入し1万度の熱に耐えその後パラシュートを広げて目指したオーストラリアの砂漠に着地したこと、さらにその着地したカプセルにはへその緒の痕跡が残っていたということです。まるで母体が自分の肉体を犠牲にして赤ちゃんを地球に送り込んだような錯覚を覚えたのです。
また地球から打ち上げられた直後のはやぶさは地上からの全面的な制御管理にあったが、地球から離れるに従ってコンピューターのプログラムを次々と書き換えていくことにより自立的に制御したり、目的に向かったりするようになり、まるで子供が成長していくような感じであったそうです。
どんなトラブルがあってもあきらめないで地球に生還させた原動力はやはり技術力と粘り強い精神力だと思います。
超10医療 〜田井祐爾医師の寄稿〜
2012.01.15 Sunday | category:超10医療
趣味はマラソン。中高年になってから走り始める人も多く私もその一人だ。生活習慣の乱れから中高年以降に肥満は増え、その結果、生活習慣病(糖尿病、高血圧症、脂質代謝異常症)も増えている。この状況を危惧して政府は、「メタボ」という言葉を国民に浸透させ、予防医療への試みの最中で、その対策の柱になっているのが運動だ。これが直接の理由かどうかわからないけど、中高年以降になってからランニングなど持久力競技を始める人は多い。
マラソンをしている中高年なら分かってくれると思うけど、走り始めると記録が気になってくる。最初はフルマラソンを制限時間内に完走することを夢見る。タイムなんか気にしないけど、完走してしまうとタイムを縮めたい欲求が出る。「次は4時間以内で走りたい」、更に「3時間半を切りたい」、そして市民ランナーなら誰もが夢見る「サブスリー」を目指して、しだいに身体活動量は増えていく。
運動習慣は、座っている生活スタイルに比べて、寿命を約7年伸ばす報告があり、適度なエクササイズは死亡リスクを低下させる。しかし、マラソンのような持久競技で記録を狙うアスリートの運動負荷は、冠動脈疾患予防で推奨されている運動量に比べて5〜10倍の強度がある。今までの報告で、心機能の指標として使われている心臓の収縮機能や拡張機能はマラソンランナーでも維持されてる。しかし、マラソンランナーの半数以上で、心筋障害の指標となる血清の心臓トロポニン値が上昇していることが分かっている。
この事実に加え、持久力競技者は、心房細動という不整脈のリスクも高いという報告もあり、マラソンを含め持久力競技が本当に心臓の健康にいいのか疑問が生まれていた。
今日の報告は、この疑問に向けられており私も関心がある内容だ。心臓は血液を全身に送り込む役割の左心室系と肺循環に送り込む右心室系に分けられ、今までの心機能評価の研究では、左心室機能に注目が集まっていた。しかし、強度の高いエクササイズによって、一時的な機能不全に陥るのは右心室ということが新しい研究で明らかになった。持久力競技者にとって右心室機能がアキレス腱になっていると、雑誌European Heart Journalの2011年12月7日に掲載された研究報告(Eur Heart J 2011; DOI:10.1093/eurheartj/ehr397)の主要著者であるAndré La Gerche医師が説明している。
この研究は、よくトレーニングを受けた40名の持久力競技者を対象にしている。彼らの平均年齢は37歳で、90%以上が男性、週に16時間以上のトレーニングをしている。これは一日2時間以上の練習をしていることになり、マラソンで言えば、明らかにサブスリーレベルだ。
血清の心臓性トロポニン値(心筋障害性の指標)とBNP値(心臓負荷の指標)、心エコーによる心機能(心室駆出率)、さらにガドリニウム造影心臓MRI(心筋線維化の指標)を、マラソン、トライアスロン、アルペンスキーなど3時間から11時間の競技直後と1週間後で評価している。
心臓トロポニン値とBNP値の上昇は、右心室駆出率の低下と相関が示されたが、左心室駆出率との相関は無かった。右心室駆出率の低下は、時間が長い競技に参加しているアスリートと最大酸素摂取量が多いアスリートで認めた。それでも一週間後の検査で、右心室機能の評価はすべて正常に戻っていた。さらに、他の被験者よりも競技年数が長かった5人では、右心室近傍の心室中隔に心臓MRIによって心筋線維化が認められた。
La Gerche医師によると、強度の高い持久力競技(マラソンやトライアスロン)の場合、肺動脈圧が全身循環血圧より上昇しており、その圧負荷によって右心室は運動の衝撃に耐え続けなければならないらしい。右心室の負荷が増え、3時間、5時間、8時間、10時間と時間が長くなれば、多大な疲労が蓄積して障害を与える可能性があるのだろう。
この報告の論説に述べられているが、米国とヨーロッパでは、年間500以上のマラソンイベントが開催され、その数は増えている。過去30年をみると、エクササイズの欠如による肥満や疾患は増えているけど、逆にウルトラ長距離なイベント(100km以上)に参加するランナーも増えているため、この研究をきっかけとしてより詳細な研究が必要で、持久力競技の長期的な健康への影響を調べていく必要がある。
今のところ、右心室拡張が健康にどんな影響を与えるか分かっていないけど問題になる可能性がある。動物実験をみれば、強度の高いエクササイズで右心室障害は引き起こされ、危険な不整脈のリスクが高まる。しかし、ヒトにおいて、右心室機能障害を前向きに評価した研究報告はない。自転車競技者の心室期外収縮に関する報告があるぐらいだ。
運動をしなければ長生きできないと私も信じているけど、その運動の量をどのくらいにすればいいのかわからない。私も走り始めた頃、かなりアスリートを意識して記録に拘った。フルマラソンでサブスリーを目指そうとした時期もある。記録のベストは3時間17分ですが、ここから1分ずつ縮めるための身体への負担は自覚できた。練習で疲れた日に胸が躍る感覚に襲われたことがある。ほんの数分だったけど、初めて不整脈を自覚した瞬間だった。実は、その後、不整脈を数度経験した。身体のためにしている運動で体調を壊しては意味がない。記録狙いのマラソンが身体に悪いと判断して記録を諦めた。今はゆっくり心臓に負担がかからないペースで長距離走を楽しんでいる。おかげでここ数年は不整脈の症状が出ていない。今日の報告をみて自分の選択は間違っていないなと思えました。
「40歳からのアスリート」というスローガンを掲げて頑張っていたが、「生涯ランニング」というスローガンに切りかえる時期なんでしょうね。
超10医療 〜田中眞治医師の寄稿〜
2011.12.27 Tuesday | category:超10医療
現地東北の各県では県民、市民の意見も集めながら今後10年間の震災復興計画が策定されています。宮城県の復興計画の骨子は高台にエコタウンを建設し、平地部を底上げし、産業基盤を作り、職住を分離したまち作りを目指すことです。被災者の方には仮設住宅で寒い冬を何回か過ごした後に高台のエコタウンに移住するまでなんとしても生き延びて欲しいと願わずにはいられません。
エコタウンのイメージとして太陽光、風力、小水力、地熱エネルギー等の利用や電気自動車などが描かれていますがまだその計画の具体的な面については書かれていません。また地域を包括する保健、医療、福祉の再構築という項目でもその具体的なイメージが記載されていません。
5月11日のこのコラムに私の個人意見として以下のイメージでの復興を描きました。もう一度記載して見直してみたいと思います。
1)環境に優しい(CO2を削減できる)地産木材を使用した家を造る。
2)サービス付き高齢者住宅の建設(医療や介護サービスが24時間)
3)住宅ローン支払い困難者の支援
4)持ち家からの住み替えの支援
5)共同墓地と震災、津波被害を後世に残すためのモニュメント
6)仮設住宅は仮設でなく共同住宅群として建設し単身高齢者が最後まで生活できる住宅建設を
共同住宅群にはプライバシーの保てる個室と共有空間(庭、作業所、趣味、娯楽スペースなど)の併設を
7)医療や介護サービスを24時間365日受けることのできる共同住宅
8)自家用車に頼らなくても自宅とまち、そして墓地などをバリアーフリーに移動できる交通手段(ノンステップバス、路面電車、モノレール)
9)まちを建設する場所は専門家の調査も参考にして災害に強い場所に
10)エネルギーは太陽光、風力、水力、潮汐などの自然エネルギーを中心に設計し、エコタウンの実現を
11)このようなまちを作るために日本中から労働者が東日本に集まり、自然環境を保護増強(植林、農業の再建など)しながら地産地消の産業を興す
12)エネルギーも労働力も、経済も地域で循環するように設計し、大きな財
源を投入し大建築物を構築することは必要最小限にとどめる。
以上を振り返ると私の思いがかなり実現しそうな点とこれからもっと提案し発言していかなければならない課題とがあるようです。
政府は遅ればせながら2013年2月に震災復興庁をおき、19兆円の予算を今後投入する計画です。こどもや働くもの、高齢者が安心して住み続けられるまちづくりがこれから始まります。多いに期待しながら私たちに出来ることを見つけ応援して行きたいと思います。
超10医療 〜田井祐爾医師の寄稿〜
2011.12.11 Sunday | category:超10医療
<減量じゃない、体力をつければ死亡率は下がる>
ダイエット希望で私のところに受診される患者さんがいますが、彼らの目的は「減量」である。体重を減らしたいと思っている人は多く、運動をしないで痩せたいと切望している。「減量」はそのまま「健康」に繋がらないことを強調するけど、一般クリニックという性格上、運動療法に力を入れられない。更に報告をみれば運動のみで減量も期待できない。減量を目的にすれば、単独で効果のある食事療法が中心になってしまう。しかし、体重が減っても決して健康になっているとは言えないため私自身は複雑な思いだ。
今日は雑誌Circulationの2011年12月6日の記事、「Long-Term Effects of Changes in Cardiorespiratory Fitness and Body Mass Index on All-Cause and Cardiovascular Disease Mortality in Men/心肺機能レベルとBMI値の長期的な変化が男性の全死亡と心血管疾患死亡へ与える影響」を紹介しよう。
この研究は<u>疫学調査なので、因果関係ではなく関連性が示されているとうことを最初に強調しておくが、心肺トレーニングレベルとBMI値の長期的な変化が、全死亡リスクと心血管疾患死亡リスクに影響があるかどうか調べた報告だ。
Aerobics Center Longitudinal Study(エアロビセンター縦断試験)に登録している14,345名(平均年齢44歳)、少なくとも医学的な評価を2回している男性のデータを解析している。フィットネスレベルは、最大負荷のトレッドミルテストから評価してメッツ(METs)(*注1)で算出。BMI値(*注2)は当然、体重と身長から計算したものだ。フィットネスレベルとBMI値の変化は、試験開始時と少なくとも6年以上経過した値から評価して、「低下」、「不変』、「増加」に区分した。全体の追跡期間は11.4年にわたっていて、この間の全死亡は914名、心血管疾患による死亡は300名だった。全死亡と心血管疾患死亡リスクは、フィットネスレベルが「低下」したグループに比べて、「不変」グループでそれぞれ30%と27%低下、「増加」グループで39%と42%低下していた。当然、BMI値を含むいくつかの危険因子で補正されている結果なので、体重が増えていても減っていてもリスク低下を認めたことになる、更に計算すると、1メッツ改善すれば、全死亡リスクと心血管疾患死亡リスクはそれぞれ15%と19%低下することになる。
これとは対照的に、BMI値の変化は、フィットネスレベルで補正をすると全死亡リスクと心血管疾患死亡リスクに影響を与えなかった。
著者であるサウスカロライナ大学のDuck-chul Lee医師も述べているが、「今は、人々の関心が減量に向いているけど、フィットネスレベルを上げることが、早死にを減らすという意味で減量以上に重要なことに思える。フィットネスレベルの維持もしくは向上させる対策に関心を向ける必要がある。」
日本でも過度のダイエット志向が見られ、肥満よりも痩せている方が健康にいいと思っている人が多い。ちょうど朝日新聞(12月9日)に今年度の学校保健統計調査の結果が載っていた。5〜17歳の全年齢で女子の平均体重が減っていて、高2、3年生の「やせすぎ」の女子の割合は5年前の約1.5倍になっている。全年齢で女子の平均体重が減少したのは1900年度の調査開始以来始めてで、男子でもほとんどの年齢で減っている。しかし、男女とも身長に目立った変化はなかったという。肥満傾向の女子は5年前から減少傾向というのは喜ばしいことかもしれないが、今日紹介した報告から考えると、体重の変化にあまり囚われず、フィットネスレベルを向上させることに目を向ける必要があるだろう。皆さん、身体を動かして運動をしましょう。
(*注1):厚生労働省ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康医療 > 健康 > 運動施策の推進 > <a href="http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/undou01/pdf/data.pdf">健康づくりのための運動指針2006 PDF</a>
(*注2):BMI = 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
超10医療 〜田中眞治医師の寄稿〜
2011.11.28 Monday | category:超10医療
10月27日19:00から太田南コミュニティセンターで大西市長との待ちかどトークが行われました。
学校と地域の連携、コミュニティーの再生、「地域も学校」での学習などをテーマに1時間があっという間に過ぎました。大西市長は厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会の委員で、国が推進しようとしている地域包括ケアのよりよい理解者であり高松市ではその先進的な取り組みをしようとの意気込みを感じました。地域包括ケアとは中学校区単位で医療と介護を切れ目なく整備し、高齢社会になっても安心して住み慣れた場所で最後まで過ごすことを可能とする仕組みです。一人暮らしの高齢者、老老介護、認知症が爆発的に増えることへの備えでもあります。2025年にピークを迎える超高齢化社会に向けてまちづくりのあり方、住まいのあり方、医療と介護のあり方など地域社会をよりよいものにするための施策がこれから高松市で実践されていきます。
また地域のボランティアの大量養成とその組織化等が必要とされます。KAGAWA超10推進委員会の取り組みも高松市の行政と連携を密にしながら運営して行くことが求められます。
これからの高松市をどのようなまちにして行くのかなどいろいろと考えることの多い市長との懇談でした。
超10大学11月の講座 お申し込みまだ間に合います!!
2011.11.22 Tuesday | category:超10大学

体調を崩されてはいませんか

いつも健康の話題をお届けしている我々超10推進委員会ですが、今回の講座のお題は「お金」。
体が資本といいつつも生きていくにはお金が必要。
人生にかかるお金のことを知ることによって生活に、心にゆとりが生まれます。
こんなご時勢です、知らずに損しちゃもったいないですね


しかも、気になるお金の話を香川を代表する料亭二蝶さんでランチを取りながら聞くことができます。
二蝶さんでお食事をしたことが無い、してみたかった
という方も是非ご参加くださいませ。【日時】 2011年11月26日朝11時〜14時頃
【講師】 高橋朋宏先生(ファイナンシャルプランナー)
【会場】 料亭二蝶(駐車場有)高松市百間町7-7
【参加費】 通常 4,900円
お申し込みはこちら
http://cho10.jp/top/daigaku_form10
詳しくはこちら
http://cho10.jp/cho10college/money/
超10大学11月の講座 お申し込みまだ間に合います!!
2011.11.22 Tuesday | category:超10大学
体調を崩されてはいませんか?
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二蝶さんでお食事をしたことが無い方も是非ご参加くださいませ。
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【講師】 高橋朋宏先生(ファイナンシャルプランナー)
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【参加費】 通常 4,900円
お申し込みはこちら
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超10医療 〜田井祐爾医師の寄稿〜
2011.11.13 Sunday | category:超10医療
今日のエントリーを読んで、世にはばかるサプリメント信奉者は慌てるかも、というか慌てるべきだ!
サプリメントに関して日本の少し先をいく米国から学ぶべき点は多い。国立衛生研究所の調査によると1970年代に米国民のサプリメント使用率は20%以下だったが、2003-2006年の報告によると約50%に増えている。しかしながら、医師にサプリメント服用を伝える人は30%と少ない。食品と考える人が多いからだろう。最近、米国ではサプリメントの弊害に関するニュースが増えている。前車の轍を踏まないためにも、我々は注目して考えるべきだ。
先日、ライフログでもとり挙げたが、サプリメント服用と死亡率増加の関連性が報告された「ビタミン・サプリメントで死亡リスク上昇?<http://life-support.cocolog-nifty.com/lifelonglifelog/2011/10/post-a800.html#more>」。数あるサプリメントの中、マルチビタミン、ビタミンB6、葉酸、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅のサプリメント7種類は、死亡率増加と関連性が示された。疫学調査の結果なので因果関係までは分かっていないが、漫然と長期間サプリメントを服用する危険性は明らかになった。
理由も色々と考えられ、その1つに粗悪なサプリメント製造過程がある。適量のビタミンを摂取しているつもりでも、実際は過度になっていて問題になったという報告がある。雑誌The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism[September 14, 2011 jc.2011-1443]で報告されていた記事を10月20日のロイターヘルスのニュースでとり挙げていたが、衝撃的な内容なので紹介する。
最近日本でも注目されているビタミンD欠乏症は米国でも一般的なうえ、骨粗鬆症、癌、心血管疾患、糖尿病のリスク上昇と関連性も示されたため、米国におけるビタミンDサプリメントの売り上げは急上昇している。服用者が増えると事故が増えるのは何処でも同じ。
全身倦怠感、嘔気、口渇、多尿、筋肉痛を訴える患者を診察した医師は、検査をすすめて血清カルシウム高値(ビタミンD過剰による副作用)を確認した。しかし、なぜカルシウムが高値になったのか原因はすぐに分からなかった。患者が薬剤の摂取を否定していたからだ。何度も繰り返して質問することで複数のビタミン剤を服用していることを聞き出せた。サプリメントに対する患者と医師の認識の相違だろう。患者はサプリメントを食品の1種としか考えていなかったため副作用が生じると思わなかったようだ。
患者の服用しているビタミン剤を詳しく調べると、問題になったサプリメントのラベルには、1カプセルにビタミンDが1,600IU(国際ユニット; 1IU=0.025μg 日本におけるビタミンD上限量50μg=2,000IU[*注])含有、そして1日10カプセル(本当は1カプセル)服用推奨と書かれていた。
米国におけるビタミンDの上限摂取量は2,000IUなので、1日1カプセルで十分なはずが記載ミスで10カプセルと書かれていたことに問題はあるが、実際の内容量を調べて驚きの事実が明らかになった。紫外分光光度計や高速液体クロマトグラフィで調べると186,400IUも入っていたからだ。この患者さん、2ヶ月間毎日ビタミンDを180万IU摂取していたことになる。毎日上限量の1000倍量のビタミンDを摂取していたんだ!点滴を中心にした治療により血清カルシウム値はすぐ是正されたけど、体内でビタミンDの貯蔵を意味する25(OH)D[*注]が正常化するのに1年以上かかったそうだ。
このビタミンDが含まれていたマルチビタミンは米国内のサプリメント会社で製造されたもので信頼されていた商品のようだ。しかし、米国内の法規制は甘く、不純物や有害物質の混入など当たり前で、徐々に規制され始めているところだ(参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/サプリメント)。日本におけるサプリメントの規制もほとんど無い状態。しかし、米国と同様にサプリメント市場は先行して巨大になっているため、同様の事故が生じるのも時間の問題だろう。
皆さんはどう思いますか?
超10医療 〜田中眞治医師の寄稿〜
2011.10.24 Monday | category:超10医療
厚生労働省が健康日本21の最終評価の結果を10月23日に発表しました。平成12年から平成24年までに壮年期死亡の減少、健康寿命の延長等を目的に国民的な健康増進運動を呼びかけた結果のまとめです。以下引用します。
1 全体の目標達成状況等の評価
・9つの分野の全指標 80 項目のうち、再掲 21 項目を除く 59 項目の達成状況は次のAの「目標値に達した」とBの「目標値に達していないが改善傾向にある」を合わせ、全体の約6割で一定の改善がみられた。
A 目標値に達した 10項目 <16.9%>
メタボリックシンドロームを認知している国民の割合の増加
高齢者で外出について積極的態度をもつ人の増加
80 歳で 20 歯以上・60 歳で 24 歯以上の自分の歯を有する人の増加 など
B 目標値に達していないが改善傾向にある 25項目 <42.4%>
食塩摂取量の減少
意識的に運動を心がけている人の増加
喫煙が及ぼす健康影響についての十分な知識の普及
糖尿病やがん検診の促進 など
C 変わらない 14項目 <23.7%>
自殺者の減少
多量の飲酒する人の減少
メタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少
高脂血症の減少 など
D 悪化している 9項目 <15.3%>
日常生活における歩数の増加
糖尿病合併症の減少 など
この結果をどのように評価するかについては様々な見方がありますが、今後10年間の健康運動のありかたについて以下のように提言されています。
1 社会経済の変化への対応
・家族・地域の絆の再構築、助け合いの社会の実現(東日本大震災からの学び等)
人生の質(幸せ・生活満足度等)の向上
健康を守るための環境への積極的な働きかけの実現
全ての世代の健やかな心を支える社会の在り方の再構築
健康の基盤を築くことのできる家庭の在り方の再構築
健康リスク・環境(放射線暴露)、危機管理(災害・感染症・食品安全)への対応
貧困等の様々な生活条件への配慮や健康格差の縮小
2 科学技術の進歩を踏まえた効果的なアプローチ
・進歩する科学技術のエビデンスに基づいた目標設定
個々の健康データに基づき地域・職域の集団をセグメント化し、それぞれの
対象に応じて確実に効果があがるアプローチを展開できる仕組み
長寿遺伝子の活性化、がんワクチン、テーラーメイド医療および予防等の最
新技術の発展を視野に入れた運動の展開
3 今後の新たな課題(例)
・休養・こころの健康づくり(睡眠習慣の改善、働く世代のうつ病の対策)
・将来的な生活習慣病発症の予防のための取組の推進(低出生体重児の
出生の予防、子どもの健全な食生活、運動・活発な余暇身体活動の実践
への強化)
・生活習慣に起因する要介護状態を予防するための取組の推進(年代に応じた食
事の質の改善、生活機能低下予防、ロコモ予防、認知機能低下予防)
・高齢者、女性の健康
肺年齢の改善(COPD、たばこ) ・重症化予防及び三次予防での対応後の再発防
止に向けた予防方策の在り 方
・健診データに基づく国民一人ひとりの自己健康管理の積極的な推進
今後目指すべき健康作りのなかでいくつかの活動はすでに私たちCHO-10が取り組んでいるものがあります。つまりCHO-10の活動は今後の健康作りの先進的な部分を実践していると思います。しかも、「地域」という場で草の根からの取り組みであることがさらにすばらしいところであると自画自賛しています。
超10医療 〜田井祐爾医師の寄稿〜
2011.10.15 Saturday | category:超10医療
コーヒー好きの私はいつもコーヒーに関する研究報告に注目してて、雑誌Archives of Internal Medicineの9月26日に掲載された報告(2011;171(17):1571-1578)に目が留まりました。コーヒーの摂取量が増えるとうつ病のリスクが低下するかもしれないからだ。
5万人以上の高齢女性(平均63歳)を10年以上にわたって観察した調査によると、毎日コーヒーを2、3杯飲んでいる女性は、週に1杯も飲まない女性と比べて、うつ病のリスクが15%低く、毎日4杯以上飲んでいると20%も低かった。
「コーヒー摂取とうつ病の関連性を調べた初めての大規模臨床研究の1つ」と著者である、米国、マサチューセッツ州、ボストン、ハーバード大学公衆衛生学部のMichel Lucas医師はMedscape Medical Newsのインタビューで説明している。
「一般的に、カフェインの入ったコーヒーを飲むと健康に悪影響があると思われているが、次から次に発表される報告を見れば、以前考えられていた有害な影響は見られないようだ」とLucas医師は述べている。
しかしながら注意しなければならないことがある。それは、この報告が「観察研究」だってこと。したがって因果関係はまだ分かっていない。
このニュースを聞けば、誰でもコーヒーを飲むとうつ病の予防になると思うだろう。しかし、観察研究の場合、逆の可能性は否定されていない。うつ病になるとコーヒーの摂取量が減っているのかもしれないし、他の因子も絡んでいる可能性もある。例えば、コーヒーを飲む人は頭が冴えて読書量が増え、読書量が多いからうつ病になりにくいのかもしれない(*こういうのを交絡因子という、報告ではアルコールの影響を除外している)。要するに今日の報告だけで、うつ病の予防のためにコーヒーを勧められないけど、抑うつ状態の人がコーヒーを控えているのなら、2、3杯のコーヒーを飲んでみるのもいいだろう。
カフェインは、世界中で最も使われている中枢神経興奮薬で、約80%はコーヒーとして摂取している。
コーヒー摂取と精神活動の関連性を調べた報告は少ない。コーヒー摂取と自殺率の関係を調べたフィンランドの報告( Eur J Epidemiol. 2000;16:789-791) によれば、自殺率はコーヒー摂取量が日に7杯まで増やしていくと徐々に低下して、日に8杯を越えると逆に増加したという。
今日の報告で、毎日6杯以上飲んでいる女性の数が少なかったため(全体の0.52%)、コーヒーの多量摂取の影響を評価することができなかったので、適量(2,3杯)の摂取に問題はないでしょう。
殆どコーヒーを飲んでいない人で日頃から気持ちがふさぎがちなら、コーヒーを飲んでみるのもいいんじゃないかな。
私は毎日10杯以上コーヒーを飲んでいたんですが、とある理由から5、6杯に減量している。何事も適量でいきましょう。
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